野球部手記

川野 拓人

駒大付属岩見沢高校 / 2007年の夏

川野 拓人

私が駒大岩見沢に入学したのは2005年
中学時代に大変お世話になった先輩から勧められ、この高校を選びました。

この時道内で一番注目されていたのは、同じ駒大付属でも苫小牧の方でした。2004年夏の甲子園大会で北海道勢初の優勝を勝ちとった苫小牧は、当時の野球少年にとっては憧れの的だったと思います。 でも、大好きな先輩の駒大岩見沢への熱い思いを聞くにつけ、自分も同じ道を歩んでみたいと決意し岩見沢を選んだ事を憶えています。

 

大きな夢を抱きながら入学したものの、そこには厳しい現実がありました。
先輩がたとのあまりにも大きなチカラの差、レベルの違い。
「これは、並大抵の練習では試合に出してもらえないぞ!」と、実感するのにそれほど時間はかかりませんでした。

まずは、球拾いや基礎練習といった地味な練習に専念、なんとか「秋の新人戦」に登用されるよう、一生懸命練習に励みました。

 

入学したての私がスタンドで参加した2005年夏の大会。
北海道大会の準決勝で、駒大苫小牧の田中将大選手(その後NYヤンキーズで活躍)の見事なピッチングを目の当たりにしました。 母校は大敗。 田中投手に完全に抑え込まれました。 この時、敗北の悔しさなど感じている余裕などない位のショックを感じました。 そのかわり、カラダの奥底から湧き上がるのは打倒田中選手への闘志。 私はこのとき、はっきりと新しい目標を見出していました。

 

念願叶って、秋の大会では1年生ながらベンチ入りすることができました。
地区大会を勝ち上がり、南北海道全道大会へと駒を進めました。 さあ、いよいよ駒大苫小牧との対戦です。 夏の甲子園2連覇を果たした苫小牧は絶好調。
だから何だ! 田中将大選手に打ち勝たねば甲子園はないぞ!

この日のために、我が野球部は打ち込み練習に新たなメニューを加えていました。 朝5時起床、田中投手を想定したピッチングマシーンで打ち込み練習の毎日です。

健闘虚しく、無念にも敗退しましたが、チームの意気は怯む事はありませんでした。
「目標は高く、困難なほど達成感があるというもの。 ひるまず前に進もう!」
この頃からチームは一段と強くなっていたような気がします。

チームワークが強く築かれ、練習の仕方も変わってきました。 先の大会でなぜ負けたのか、何が今のチームに足りないのかをチーム全体で話し合うようになりました。 ひとりひとりの課題をみんなではっきりさせ、フォローし合うとモチベーションも上がります。 練習の効率もグンと上がります。 日々の練習が楽しく、充実してきます。

本当に良いチームになってきたと実感していました。

川野 拓人

2007年「最後の夏」
北海道地区の支部区分け変更に伴い、母校は夏の大会から北北海道で出場することになりました。 これまで対戦したことのないチームばかりです。

相手の情報が乏しい中での戦いに苦戦を強いられながらの大会となりましたが、何とか夏の甲子園出場を決めることができました。
旭川実業高校との決勝戦を制し、9年ぶりの甲子園大会進出を決めた時の感激は忘れられません。皆でお互い抱き合って大喜びしました。その時の情景は今でも鮮明に覚えています。

このとき北海道代表は、「北北海道」が我が駒大岩見沢、「南北海道」が駒大苫小牧。 駒大付属が揃って甲子園に進んだのがこの年です。お互い決勝戦まで勝ち進み、駒大岩見沢が駒大苫小牧に勝利して深紅の優勝旗を手に! そんな夢を胸の奥に秘めながらの甲子園進出です。

 

2007年8月10日朝9時の第一試合 帝京高校。
中村晃選手(その後ソフトバンクホークスへ)や杉谷拳士選手(その後日本ハムファイターズへ)のいる帝京高校は、言うまでもなく強豪でした。
初回に先制点を奪取しましたが、その後は波に乗り切れず 7-1で敗退。
試合終了の瞬間、この3年間の思い出~喜び・苦しみ・悔しさ・感激・興奮~数えきれないほどの記憶が、一気に頭の中を駆け抜けました。

これで、私の高校野球は終わりました。 打倒、駒苫の夢を果たせずじまいでしたが、悔いのない3年間でした。

川野 拓人

最後の夏を甲子園で終えられることは、高校球児にとって最高の喜びです。

駒大岩見沢はその後閉校になり、「ヒグマ打線」と異名をとった夏の甲子園4回、春の選抜8回出場の歴史に幕を閉じましたが、この学び舎に刻み込まれたたくさんの夢や、たくさんの悔しい思い全てが私の宝物です。その一つひとつが、今でも私の支柱になっています。

卒業後、私は旭川大学で野球を続け、そして今も、エコアハウスの野球部の一員として元気に練習に励んでいます。
施工品質日本一の家を造るかたわら、かつてライバルだった駒苫出身の同僚達とも一緒になって、おおらかに野球人生を謳歌しています。

毎日が、とても充実しています。 本当にありがたい事だと思っています。

川野 拓人

エコアタウン元江別 セクションマネージャー

川野 拓人

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